茶道と同じように、「いけばな」もまた日本独自の美学に基づき発展し、今もたくさんの人たちに愛されている文化です。
このホームページで紹介する嵯峨御流(さがごりゅう)は、中でも、京都・大覚寺を本拠(総司所)とする伝統的な流派です。
大覚寺は「いけばな」にとって歴史的に重要なお寺であることは言うまでもありません。それは平安時代のこと、嵯峨天皇(在位809〜823年)がこの地を離宮としていた時のことでした。今も観光名所として知られる同地・大沢池で遊ばれたとき、天皇は美しい菊を手折られ花瓶にいけられた。その姿が見事に、自然と人との調和をデザイン化した「天、地、人」の三才の法にかなっていた…これが嵯峨御流のルーツです。
嵯峨御流には
「伝承花」と
「心粧華(しんしょうか)」の二つの系統・様式があります。
伝承花は、
「生花(せいか)」「盛花(もりばな)」「瓶花(へいか)」「荘厳華(しょうごんか)」の四つのスタイルに分けられます。これらは伝統的なもの。
いっぽうの心粧華には、
「祈り花」「才の花」「想い花」の三つのスタイルを持っています。こちらは伝統をいかに今の時代に発展させるかを考えたものです。
長い伝統があってこその「いけばな」。
そしてこの美を、どう日々の生活の中に活かすか。
このホームページで、その一端をお伝えできればと願っています。
阿佐甫