茶道 裏千家 
  
 いけばな嵯峨御流 
  
 和 敬 庵(わけいあん) 
  
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「国宝 三井寺展」と、割れた弁慶の鐘
 鐘が割れた理由…これを知っているか否かで、味わいが変わる。三井寺(園城寺)に伝わる、いわゆる「弁慶の引き摺り鐘」などは、その典型的な一例と言えるだろう。
 利休の花入れ「園城寺」は、この流れの中にある。
 日本の伝統的文化・芸術には、過去にならう、という大きな特色がある。昨今はその反対で、「個性」なり「独自性」なりが、とても価値があるように喧伝されており、それはものごとを極めた上での到達点においてであれば得心がいくのだが、世の中、言葉だけが先に進んでしまった。少し前まで日本は、コピー・複写が当たり前であった。コピーという言葉を使いたくなければ、写し。イニシエの人たち、先人たちの業績をに倣(なら)うことは恥ずかしいどころか、せねばならぬ鉄則と言ってもよかった。絵画の狩野派などは、過去ばっかり。日本の伝統は、後ろ向き…これは決して悪く言っているのではなく…原則がそれであることを理解すれば、茶道にしろ絵画にしろ、面白味が増すのである。
「国宝 三井寺展」の垂れ幕(六本木・東京ミッドタウン)
 
「国宝 三井寺展」に行ってきた。三井寺は源氏ともゆかりが深く、また比叡山との確執により何度も兵火に包まれるというドラマチィックな歴史を背負う古刹だ。だが、焼け落ちてもなお、今に伝わる文化財は、国宝、重文からいえば他の歴史的寺院を圧倒するほどの数だという。「国宝 三井寺展」は、その歴史の重さを感じさせる展覧会で、かの有名な「黄不動」(国宝)ほか、門外に出てオガむことができるのは今回限り…といった秘仏、書状ほかが所狭しと陳列されていた(ただし、東京の会場となったサントリー美術館は、六本木の東京ミッドタウンにあるのだが、外見のカッコはいいものの、狭くて天上が低い。だから、時に国宝&重文を倉庫の中で見せられているような気分になる。また、人手がまわらないのだろう、よく見ると各所のスミにホコリがたまっていた)。  
 で、「和敬庵」における興味の一つが、三井寺の鐘である。ここの鐘は近江八景の一つとしても名高いが、この鐘の以前にもう一つ、「弁慶の引き摺り鐘」がある。
三井寺霊鐘図(同展図録から)
 
「当寺初代の梵鐘で、奈良時代の作とされています。むかし、承平年間(十世紀前半)に田原藤太秀郷が三上山のムカデ退治のお礼に琵琶湖の龍神より頂いた鐘を三井寺に寄進したと伝えられています。
 その後、山門との争いで弁慶が奪って比叡山へ引き摺り上げて撞いてみると ”イノー・イノー”(関西弁で帰りたい)と響いたので、弁慶は『そんなに三井寺に帰りたいのか!』と怒って鐘を谷底へ投げ捨ててしまったといいます。鐘にはその時のものと思われる傷痕や破目などが残っています。 」(三井寺のホームページから)  
 伝説は伝説でしかない、と思うのか、伝説の中に「何らかのメッセージ」が隠されていると読むのか…三井寺の「割れた鐘」も、想像をたくましくすると、なんとも味わい深いのである。
 当然、かつての大インテリ、すなわち茶人らはこの「割れた鐘」のことは常識として知っていて、本ホームページでも先に紹介した割れた花入れの銘を「恩城寺」とした…過去や歴史を理解してこそのシャレであり、また「三井寺」としなかったのも、当然といえばとうぜんだった。
 一つの花入れから、戦火に包まれ燃え上がる大伽藍や、弁慶・義経に思いを馳せる。日本ならではの特質が、ここにも表われている。
(写真にある霊鐘図は、かつての参拝客のために作られたお守り/2009年3月15日)
(文・TADASHI)
 
三井寺のホームページ:http://www.shiga-miidera.or.jp/
 
【和敬庵検索】
〈茶道〉

茶道へのお誘い
 茶道は、日本の伝統的土壌から生まれ出た世界に誇る総合芸術です。
 お茶をいただくこと。そのたった一つの目的の中に、日本人ならではの美意識や世界観が凝縮されています。
 一服のお茶をいただく喜び。それはまた、自分を見つめなおすことにほかなりません。茶室の静けさ。香りたつ抹茶の緑。蹲(つくばい)の水面に落ちる一しずく。殺伐としたこの時代にあって、自然や人のうつろいを感じることは大切なことのはずです。
 茶道は、村田珠光(むらた・じゅこう)、武野紹鴎(たけの・じょうおう)らを先駆として、千利休(せんのりきゅう/1522〜1591年)が完成させたとされます。
 いわゆる、侘茶(わびちゃ)。簡素静寂を究極とする日本独自の美がここに生まれ、今に至ります。
 みなさんも、そんなお茶の世界を、覗いてみてはいかがでしょうか。
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