茶道 裏千家 
  
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利休の書状と「園城寺」
 茶道の日々の実践は当然のこととして、その成り立ちや、さまざまな逸話に触れる機会を自らでもうけることは大切であるように思います。
 2009年の1月、上野にある東京国立博物館で「武蔵鐙の文と竹一重切花入〜利休の書状を読む〜」というギャラリートークが数度にわたって行われました。
 展示されている利休直筆の手紙(むさしあぶみのふみ)を眺めながら、東京芸大のボランティア(学生)による解説を聞く。それだけの短時間のトークです。でも概要だけであれ内容を理解するのと、書状を「見る」だけでは大違い。なぜならこの古田織部に宛てた書状が展示された同じ部屋の、その真ん中には「たけいちじゅうぎりはないれ」、すなわち銘「園城寺」の花入れが置かれていたのですから。
 
「園城寺」(1590年)の背面と正面
 
 トークの際に配布されたパンフには、二つの関係を教える文章としてこうあります。
<「武蔵鐙の文」は古田織部へ、「園城寺」は利休の次男へそれぞれ別個に伝来する。2つがセットになるのは宝暦元年(1751)、「武蔵鐙の文」が千家より「園城寺」を所持していた上田小平次に贈られた時。つまり、「武蔵鐙の文」は「園城寺」の正式な添状ではない。しかしながら、両者ともに利休にまつわる作品として貴重である。>
「園城寺」は、千利休の作と伝えられる名品であり、茶道という彼の世界観を花入のデザインへ導入した画期となる一作です。織部宛の書状には、この作品の完成を喜んでいるのであろう記述がある、というわけです。いわく、
<一 花筒近日相届候由 本望候
 一 筒ふしきのを切出申候 早望無之候>
(同パンフから=『利休の手紙』小松茂美著より)
 
 天正18年(1590)、千利休は豊臣秀吉の小田原攻めに同行。この時、同じく出陣した古田織部も武蔵の国にいて茶道における師匠と弟子はさかんに手紙をやりとりしています。その中の一つ「武蔵鐙…」の文面には、織部が敵の城を攻め終えたようでもあり、陣中で一服差し上げたい、お茶も持ってきております、と利休は書いています(6月20日)。
 秀吉が天下統一のために北条氏を滅ぼさんと総攻撃をしかけたまさにその時期の「静寂」がここにある、と言えるかもしれません。巨大な権力闘争と殺戮の真っただ中で、利休ならではの「侘茶」(わびちゃ)が完成された。その象徴の一つが「園城寺」、といったところでしょうか。 
 なお「園城寺」には正面に大きな干割れが入っています。秀吉が、こんなもの!と言って庭に投げつけたから、という伝説があるもののその真偽のほどはわかりません。ではなぜ「園城寺 小庵」(利休の養子である千小庵による名付)、と背面に記されたのか?
 それは滋賀県大津市の三井寺、すなわち天台寺門宗総本山園城寺にある有名な破れ鐘に千小庵がひっかけたから。
 これが弁慶の逸話とつながって…と、お茶にまつわる歴史探索の旅は尽きることがありません。 
千宗旦作「普化」(17世紀/写真左)、金森宗和作・竹尺八花入(17世紀)。
ともにパンフレットから

 
小説『松林図屏風』
 2008年11月に発売された『松林図屏風』(著・萩耿介=はぎこうすけ/日本経済新聞/第2回日経小説大賞受賞)は、長谷川等伯とその一家をテーマとした小説で、圧倒的な勢力を持つ狩野派に対抗すべく等伯らがいかに苦闘したかを描いている。もちろん利休との交流も出てくる面白い作品です。
(文・TADASHI)
 
 
 
※竹一重切花入「園城寺」は、上野・東京国立博物館で2009年3月1日まで、本館4室「茶の美術」で展示されている。
茶道へのお誘い
 茶道は、日本の伝統的土壌から生まれ出た世界に誇る総合芸術です。
 お茶をいただくこと。そのたった一つの目的の中に、日本人ならではの美意識や世界観が凝縮されています。
 一服のお茶をいただく喜び。それはまた、自分を見つめなおすことにほかなりません。茶室の静けさ。香りたつ抹茶の緑。蹲(つくばい)の水面に落ちる一しずく。殺伐としたこの時代にあって、自然や人のうつろいを感じることは大切なことのはずです。
 茶道は、村田珠光(むらた・じゅこう)、武野紹鴎(たけの・じょうおう)らを先駆として、千利休(せんのりきゅう/1522〜1591年)が完成させたとされます。
 いわゆる、侘茶(わびちゃ)。簡素静寂を究極とする日本独自の美がここに生まれ、今に至ります。
 みなさんも、そんなお茶の世界を、覗いてみてはいかがでしょうか。
宗佐
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